東京国立博物館の縄文展に行って来ました。

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一万三千年ほど前、ほぼ氷期が終り、日本列島は温暖で湿潤な気候に変って、現在と同じ山や海や四季が整いました。当時の人々は狩猟や漁撈、そして植物採集などを基本的な生業として竪穴住居に暮し、定住性の高い生活を送っていました。一万年続いたこの時代を、縄文時代と呼びます。
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縄文時代の名称は、土器に施された縄目文様に由来します。
縄文土器の形状は極めて独特で、同時期(縄文中期)のユーラシア各地の土器と比較すると際立つ個性がよくわかります。
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土偶は人型の土製品で、たいていは女性像です。男性を象徴する造形としては、石棒があります。
重文の遮光器土偶は、展覧会でも異彩を放っていました。やはり欠損には魅力があります。

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食糧を手に入れ、子供を育て、神々(自然)に祈りを捧げていたら、一日はあっという間に終ってしまったことでしょう。家や衣服も作らなければならないし、そのうえ芸術性を追究した土器や土偶も拵えていたら、とても忙しかったと思います。
大陸では文字や鉄を使ったり、農耕を始めたりしているという話は知っていても、では自分たちもそうしようという気にはあまりならなかったようです。組織を大きくすれば争いも大きくなります。恐ろしいこともたくさん伝え聞いていたでしょうから。とはいえ周囲との差があまり大きく開くのもまた危険ですから、新しい時代に移行せざるを得ませんでしたが、ひとつの時代が一万年続いたという例はほかにあまりありません。
その思い出は今もこの日本列島に息づいていることでしょう。ほとんど記憶にない三歳までの経験が、人間に多大な影響を与えているように・・・

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↑これは常設展の埴輪。縄文ではなく古墳時代。